「最近、親のもの忘れがひどくて目が離せない…」
「でも、身体はピンピンして元気だから、介護認定は受けられないのかな?」
そんな悩みを抱えていませんか?
結論から言うと、認知症は身体機能に問題がなくても、要介護認定の対象になります。
しかし、何も知らずに国や自治体の「認定調査」を迎えてしまうと、実態とかけ離れた軽い判定を下されてしまうケースがあります。
この記事では、認知症だと介護度が低くでやすい理由から、要介護度の目安、そして「正しい介護度」を勝ち取るための認定調査の対策、さらに具体的な申請の流れまでを解説します!
認知症の介護認定は「体が元気な人」ほど損をする!?
「毎日こんなに壮絶でヘトヘトなのに、なぜ軽い判定になってしまうの?」
その理由は、介護保険の判定システムにあります。
介護認定で最も重視されるのは、病気の名前や症状の激しさではなく、一言でいうと「1日に何分、その人の介護に手(時間)がかかっているか」という「介護の手間(=介護認定審査会が用いるタイムスライス基準)」だからです。
認知症の方は、リハビリパンツの交換を拒否したり、徘徊して迷子になったり、何度も同じことを聞いてきたりしますよね。これらはすべて家族の「時間」と「精神」を削る立派な介護の手間です。
しかし、身体が元気で歩けるがゆえに、訪問調査のわずか1時間でその大変さが調査員に伝わらないと、システム上で「この人は自立している」と判断されてしまうのです。
「手間」の伝わり方で介護度が変わる理由
訪問調査で「介護の手間」が正しく伝わらないと、実際の負担に対して、介護度が低く判定されてしまうことがあります。
介護度が実態とずれてしまった場合、家族の負担や利用できるサービスに以下のような影響が出てきます。
実際の負担と判定にズレが起きた場合の例
・【実態(本来の姿)】
目を離すと外出して迷子になる、夜中に何度も対応が必要、排泄の手伝いが必要など、24時間体制での見守りが必要な状態。
・【調査員に伝わったイメージ】
「多少のもの忘れはあるものの、足腰がしっかりしており、自分で元気に歩くことができる」
・【判定結果】
実態は「要介護3」相当であっても、歩行が安定しているため「要支援1」や「非該当(自立)」と判定されるケースがあります。
・【生活への影響】
要支援1や非該当になると、デイサービスなどの利用回数が週1回程度に限られたり、ショートステイが利用しにくくなったりします。また、特別養護老人ホーム(特養)への入居申し込み(原則要介護3以上)も難しくなります。
介護度別の「毎月の利用枠(金額)」7段階一覧
介護保険は、厚生労働省が定める「区分支給限度基準額(※1単位=10円で計算)」のルールに応じて、毎月使えるサービスの上限額(支給限度額)が決まっています。
- 要支援1: 50,320 円/ 月 (5,032単位)
- 要支援2: 105,310 円 / 月 (10,531単位)
- 要介護1: 167,650 円 / 月 (16,765単位)
- 要介護2:197,050 円 / 月 (19,705単位)
- 要介護3: 270,480 円 / 月 (27,048単位)
- 要介護4: 309,380 円 / 月 (30,938単位)
- 要介護5: 362,170 円 / 月 (36,217単位)
上記の利用枠を上限までフルに使ったとしても、窓口での実際の支払いは1割〜3割のみです。
例:要介護3(270,480円分)をフルに使った場合 ➔ 実際の支払いは27,048 円
認知症の「要介護度」と症状の目安一覧
認知症の症状が進むと、本来は目安として以下のような判定になるのが一般的です。ご本人が今どこに当てはまるか、確認してみてください。
| 区分 | 認知症の症状と心身の状態の目安 |
|---|---|
| 要支援1〜要支援2 | ・少しもの忘れ(日にちを忘れるなど)があるが、基本的に一人で暮らせる ・買い物や金銭管理に少し手助けが必要 |
| 要介護1 | ・認知機能の低下がみられ、服薬管理ができない、留守番ができない ・日常生活や立ち上がりに一部介助が必要 |
| 要介護2 | ・もの忘れや理解力の低下が目立ち、一人で安全に暮らすのが難しい ・日常的な見守りや、お出かけ・家事のサポートが不可欠 |
| 要介護3 | ・徘徊、荷物の詰め込み、大声を出すなどの周辺症状(BPSD)が時々みられる ・着替え、食事、排泄などにも、ほぼ全面的な介助が必要 |
| 要介護4 | ・思考力や理解力の低下が著しく、意思疎通が難しくなる ・日常生活のあらゆる場面で常時介護が必要(目が離せない) |
| 要介護5 | ・寝たきりの状態に近く、意思疎通(コミュニケーション)が困難 ・24時間体制での全面的な介護が必要 |
この症状と要介護度の目安は、厚生労働省の「要介護認定の仕組みと基準」および「認知症高齢者の日常生活自立度」の公的基準に基づいて構成されています。
国の判定ソフト(一次判定)や医師の意見書でも、この「どれくらい日常生活に認知症の影響が出ているか」のデータが直接の判定根拠として使われています。
損をしないための「介護認定」申請の流れ
申請から結果が出るまでは約1ヶ月。家族がやるべきことは大きく分けて3ステップだけです。
ステップ1:申請する(すでに担当ケアマネがいる場合は必ず相談!)
お住まいの市区町村の役所窓口や、地域包括支援センターに「介護保険を使いたい(または介護度を見直したい)」と伝えます。家族が代わりに手続きできます。
★ココがポイント!
すでに別のサービスを利用していて、担当のケアマネジャー(ケアマネ)さんがいる場合は、役所に行く前に「必ず」ケアマネさんに相談してください。申請の手続きを代行してくれたり、訪問調査のコツをアドバイスしてくれたりします。
ステップ2:訪問調査を受ける(★ポイント)
市区町村の調査員が自宅にやってきて、本人の様子を見たり、普段の生活について質問されたりします。※このとき、家族が同席して「日頃の介護の手間」を漏れなく伝えることが、正しい介護度をもらうためのカギになります。
ステップ3:病院の先生に「意見書」を書いてもらう
役所から本人の主治医(かかりつけ医)へ、直接「主治医意見書」の作成依頼がいきます。家族が書類を運ぶ必要はありません。
★ココがポイント!
お医者さんは診察室での短い様子しか見られません。本人が診察のときだけ「しっかり」してしまうと、実態に合わない意見書になってしまうことがあります。
日頃の診察から、物忘れや困っている行動(徘徊、夜間対応など)をメモにまとめて先生に伝えておくことが、正しい認定をもらうためにとても重要です。
調査員に「日頃の状況」を正確に伝える3つのコツ
訪問調査の短い時間でありのままの介護実態をしっかり理解してもらうために、家族ができる3つの工夫です。
困りごとを「回数」や「時間」でメモしておく
言葉で伝えるよりも、具体的なエピソードを紙に書いて渡すと確実です。
例:「週3回は外に出ようとする」「夜中に2回は起こされる」など、具体的な数字を添えて当日手渡しましょう。
本人が「無理をして頑張っている」と事前に伝える
認知症の方は、調査員の前で一時的に「しっかりした人」を演じがちです。あらかじめ「今は緊張して無理をしています。普段は物忘れが多いです」と普段とのギャップを調査員に伝えておきましょう。
本人の前で話しにくい内容は「別紙」や「電話」で伝える
失禁の失敗や暴言など、本人のプライドを傷つける可能性のある内容は、本人の目の前で話すのを避けるのが賢明です。事前にメモに書いて渡すか、調査の翌日などに役所や調査員へ直接電話をして伝えても問題ありません。
まとめ
認知症の介護認定は、「体が元気だから」と諦める必要は一切ありません。大切なのは、日頃あなたがどれだけ苦労して、どれだけの手間をかけているか、ありのままの状況を調査員に正確に伝えることです。
まずは、お住まいの市区町村の役所窓口や、地域包括支援センターに相談することから始めてみてください。家族だけで抱え込まず、使える介護サービスをフルに頼っていきましょう。


