【重度認知症デイケア|専門医療チームが行うリハビリ効果と費用が軽くなる負担軽減制度を解説】

福祉

毎日の介護、本当にお疲れ様です。大切なご家族のために「もっと手厚いケアを受けさせてあげたいけど、どこに相談すればいいのか分からない…」と、ひとりで悩みを抱え込んでいませんか?

私は以前、精神保健福祉士として「重度認知症患者デイケア」で勤務していました。

当時は、家での介護に限界を感じて涙を流されていたご家族が、デイケアを利用するなかで、少しずつ笑顔や心のゆとりを取り戻していく姿をたくさん見てきました。

「よくあるデイサービス(通所介護)とは何が違うの?」と思われている方も多いかもしれません。実は、この2つには大きな違いがあります。

今回は、元職員の視点から、重度認知症デイケアならではの「専門の医療チームによる優しいケアとリハビリの効果」、そして「ご家族の負担を軽くするための大切な制度」について、分かりやすくお届けします。

制度の基本|重度認知症デイケアってどんなところ?

「よくあるデイサービス(通所介護)と同じでしょ?」と思われがちですが、実は中身が大きく異なります。一番の違いは、病院やクリニックが運営し、医師の指示のもとで行われる「医療(精神科専門療法)」に特化した場所という点です。

介護保険ではなく「医療保険」が適用されます

一般的なデイサービスは「介護保険」を使いますが、重度認知症デイケアは要介護認定を受けている方であっても、国の定め(※)により「医療保険」が適用されます。そのため、介護保険の利用限度額(支給限度基準額)を一切気にすることなく、別枠で利用できるのが大きな特徴です。

認知症専門の医療チームが常駐

精神科医などの専門医をはじめ、看護師、作業療法士、そして私たち精神保健福祉士といった「医療のプロフェッショナル」がいつも揃っています。

認知症が進行した症状でも安心

認知症が進行し、「家の中で落ち着かない」「夜に眠ってくれない」「大声を出してしまう」「お家に帰りたがって歩き回る」といった、ご家族だけでは対応が難しい症状がある方でも、安心して過ごせる場所です。重度認知症デイケアでは、手厚い人員配置基準が定められているため、一人ひとりの歩幅に合わせて、ゆったりと優しく見守ることができます。日々の小さな体調の変化や、お薬の調整も医療のプロが連携して行います。

リハビリ効果|専門の医療チームが届ける集団リハビリ

「重度」という言葉がつくと、もうリハビリをしても意味がないのかな…と思ってしまうかもしれません。ですが、決してそんなことはありません。専門の医療チームが関わるからこそ、ご本人の心と身体を穏やかに整える、たくさんの良い変化が生まれます。

重度認知症デイケアで行うリハビリは、1対1で行うものではなく、他の利用者様と一緒に活動する「集団リハビリ」がメイン(※国の制度上の規定)となっています。ひとりで頑張るのではなく、みんなで同じ時間や空間を共有することそのものが、大切なリハビリとしての役割を持っています。

私が勤務していた頃も、利用を重ねるうちにたくさんの素敵な笑顔に出会うことができました。

不安が和らぎ、心がおだやかになる

「家の中で落ち着かない」「大声を出してしまう」といった行動の背景には、ご本人の言葉にできない「不安や戸惑い」が隠れていることが少なくありません。重度認知症デイケアでは、精神科医や看護師、作業療法士、精神保健福祉士などが連携し、その不安の理由にそっと寄り添います。心が満たされ、生活のリズムが整うことで、表情がみるみる和らぎ、おだやかに過ごせる時間が自然と増えていきます。

集団のあたたかい刺激で、生活に活気が戻る

専門の作業療法士などが、みんなで一緒に楽しめるプログラム(回想法、音楽、手芸、園芸、軽い体操など)を行います。まわりの人と一緒に笑ったり、歌ったり、同じ時間を過ごすことそのものが、脳と心に心地よい刺激を与えてくれます。

実際、ご利用いただいているご家族からは、「家に閉じこもりがちだった頃に比べて、生活にぐっと活気が出ました」「『今日はデイケアの日だね』と、本人が行くのを本当に楽しみにしているんです」
という嬉しいお声をたくさんいただいていました。

本人の笑顔が、ご家族の負担をそっと減らしてくれる

ご本人の心がおだやかになり、夜ぐっすり眠れるようになったり、笑顔が増えたりすることは、結果として介護をするご家族の心と身体の負担を大きく減らすことに繋がります。また、デイケアにお任せいただいている時間は、ご家族がひとりの時間を持って、ほっと息をつくための大切な休息(レスパイト)にもなります。

負担軽減制度|費用が軽くなる!

医療保険で通う重度認知症デイケアですが、「毎月の費用が心配…」というご家族も多いと思います。ですが、どうぞご安心ください。経済的な負担を大きく減らせる2つの大切な制度があります。

私が勤務していた頃も、ほとんどのご家族がこれらの制度を利用して、安心して長く通い続けられていました。

自立支援医療(精神通院医療)

重度認知症デイケアにかかる医療費の自己負担が、原則「1割」に軽減される制度です。さらに、世帯の所得に合わせて「1ヶ月に支払う上限額」が設定されるため、それ以上の費用がかかる心配がありません。
👉 [自立支援医療の手続きや詳しい仕組みはこちら]

高額療養費制度

ひと月の間に支払った医療費が一定の額を超えた場合に、超えた分が後から戻ってくる制度です。上記の自立支援医療と組み合わせることで、月々の負担をとても低く抑えることができます。
👉 [高額療養費制度の対象や申請方法はこちら]

※これらの制度の申請や書類のご用意については、施設の相談員(精神保健福祉士など)が丁寧にサポートしてくれるので安心してください。

重度認知症デイケアはどこでやってる?|利用を始めるためのQ&A

「うちの近くにもあるかしら?」「どうすれば使い始められるの?」という疑問にお答えします。医療保険のサービスだからこそ、一般的なデイサービスとは少し窓口が異なります。

Q. どこでやっているの?

主に「精神科のある病院」や「認知症専門のクリニック」に併設されています。医療機関が運営しているからこそ、手厚い専門医療チームがすぐそばにいる環境が整っています。

Q.利用開始にあたって、どこに相談すればいい?

まずは、以下のいずれかの窓口に「重度認知症デイケアを検討している」と相談してみてください。

  • 今かかっている主治医(もの忘れ外来や精神科など)
  • 病院やデイケアにいる精神保健福祉士やソーシャルワーカー
  • お近くの「地域包括支援センター」

Q.利用するまでの流れは?

  1. 相談・見学: まずは施設を見学し、PSWなどに普段の困りごとを相談します。
  2. 医師の診察: デイケアを運営する病院(またはクリニック)の医師による受診(診察)が必要です。
  3. 利用開始: 医師が「デイケアの利用が必要」と判断した上で、利用の契約を結び、通い始めることができます。

Q.どんな内容(1日)で、費用はどれくらい?

  • 内容:
    朝、専用の車でご自宅までお迎えに伺います。施設に着いたら、健康チェック(血圧測定など)を行います。重度認知症デイケアでは、他の方々と一緒に取り組む「集団リハビリ」を中心に過ごします。美味しいお昼ごはんをみんなで食べたり、プログラム(音楽や軽い運動など)をみんなで楽しんだりして、夕方にお送りします。仲間がいるあたたかい環境が、ご本人の笑顔を引き出します。
  • 費用:
    重度認知症デイケアは医療保険が適用されるため、前述した「自立支援医療」の手続きを行うことで、基本の医療費の自己負担が「1割」に軽減されます。
    具体的な金額は、施設の施設基準や加算状況によって異なりますが、医療費の1割負担分に加えて、自立支援医療の対象外となる「昼食代(食材料費)」などの実費が毎回別途かかります。
    ただし、自立支援医療には世帯の所得に応じた「1ヶ月の医療費の支払い上限額」が定められているため、ひと月に何度も通う場合でも、医療費に関しては一定以上の負担にならない仕組みになっています。具体的な自己負担の見込み額については、利用を検討される施設の専門相談員(精神保健福祉士など)が事前に詳しく試算してくれます。

Q.診察やお薬の処方はどうなるの?

重度認知症デイケアに通う大きなメリットの一つが、「通いながら、その場で診察やお薬の処方(調整)を受けられること」です。
「最近、夜に興奮してしまう」「お薬が合っていない気がする」といった変化があれば、デイケアでのご本人の様子をよく知る専門の医療チームが主治医と連携し、その場でお薬の調整や診察を行います。わざわざ遠くの病院へ何時間もかけて通院する負担が、ぐっと軽くなります。

頑張りすぎず、いつでもプロを頼ってください

「馴染めるかな」「お出かけを拒否されたらどうしよう」と不安に思うのは、ご家族を深く想っているからこそです。

重度認知症デイケアは、無理に何かをしてもらう場所ではありません。まずはその場所の雰囲気に慣れていただき、スタッフが優しく信頼関係を築いていきます。いきなり利用を決める必要はありませんので、まずは近くの施設を見学して、温かい雰囲気を感じてみてください。

介護のつらさを少し話しにいくだけでも、専門スタッフは優しく受け止めてくれます。大切なご家族のまいにちを、専門医療チームに半分、預けてみませんか?

あなたとご家族が、少しでもおだやかな日々を過ごせるよう、心から応援しています。


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