「認知症グループホームに入居したら、最期まで診てもらえるの?」
「途中で医療的ケアが必要になったら、退去になってしまうの?」
認知症のご家族を施設に預ける際、多くの方がこのような将来への不安を抱えます。グループホームは「終の棲家(ついのすみか)」になるイメージがあるかもしれませんが、実はすべての施設で最期まで暮らせるわけではありません。
この記事では、認知症グループホームでの看取りの現状と、いざという時に後悔しないための施設選び「3つのポイント」をわかりやすく解説します。
認知症グループホームでの「看取り」の現状
結論から言うと、グループホームでの看取り対応は「施設の方針によって異なる」というのが現状です。
近年のデータによると、認知症グループホーム全体の看取り率は約3割程度にとどまっています。
これは、グループホームがあくまで「生活の場」であり、病院のような手厚い医療設備や、24時間の看護師常駐が義務付けられていないためです。
そのため、日常的な医療的ケア(頻回な痰の吸引や点滴など)が必要になった段階で、対応が困難になる施設も少なくありません。しかし一方で、地域の医療機関としっかり連携し、最期まで温かく見送ってくれる施設も確実に増えてきています。
グループホームで看取りを希望する場合の「3つのポイント」

もし「最期まで慣れ親しんだグループホームで過ごさせてあげたい」と望むなら、以下の3つのポイントを必ず確認しましょう。
ポイント1:医療・看護との「連携体制」を確認する
グループホームには介護スタッフは24時間いますが、看護師や医師は常駐していません。そのため、外部の「訪問診療(医師)」や「訪問看護(看護師)」が定期的に入っているかが重要です。
また、夜間に容体が急変した際、スタッフがすぐに医師や看護師に指示を仰げる「オンコール体制」が整っているかを、見学時や入居前に必ず確認しましょう。
ポイント2:施設の「看取りに対する方針・実績」を知る
施設によっては、「看取りに関する指針(ガイドライン)」をしっかりと定めているところがあります。また、過去に看取りを行った実績があるかどうかも大きな判断材料になります。
実績がある施設は、スタッフが看取り期の対応に慣れており、ご家族への精神的なフォローも手厚い傾向があります。
ポイント3:ご家族の「心構えと事前の意思決定」
看取り期に入ると、延命治療を行うか、自然な最期を迎えるかなど、重い決断を迫られることがあります。施設任せにするのではなく、ご本人が元気なうちから「どのような最期を迎えたいか」を家族間で話し合っておくこと(ACP:アドバンス・ケア・プランニング)が非常に大切です。
【知っておきたい制度の知識:看取り介護加算】

看取り体制がしっかり整っている施設では、介護保険の「看取り介護加算」が算定されることがあります。この加算を取っている施設は、医師や看護師との連携、ご家族への説明体制など、国が定める厳しい基準をクリアしている証拠でもあります。施設選びの一つの目安として覚えておきましょう。
看取り対応が可能なグループホームの探し方
「看取りができる施設を探したいけれど、どうやって見つければいいの?」と迷った際は、お住まいの市区町村が発行している『介護保険ガイドブック』や公式ホームページを確認するのが最も確実な方法です。
市区町村は、介護保険制度の運営主体(保険者)です。そのため、行政は地域にあるすべての介護施設を管轄しており、「どの施設が『看取り介護加算』を取得しているか」「どのような医療体制が整っているか」という正確なデータを把握し、住民に公開する義務を持っています。
多くの場合、ガイドブックの巻末などにある「施設一覧表」を見ると、「看取り対応」や「訪問看護体制」といった項目があり、対応している施設にはマル(○)がついています。

ネットの口コミや民間の検索サイトよりも情報が正確で網羅されているため、まずは市役所の介護保険窓口や、お近くの地域包括支援センターで冊子をもらうか、市のホームページで一覧表をチェックして候補を絞り込むのがおすすめです。
もし看取り対応ができない施設だったらどうなる?

入居中のグループホームが看取りに対応していない場合、あるいはご本人の医療的ケアが施設の対応限度を超えてしまった場合は、転居が必要になります。
多くの場合、治療のための「入院」となるか、医療体制が整っている「特別養護老人ホーム(特養)」や「介護付き有料老人ホーム」へ移ることになります。
いざという時に慌てないよう、入居時の契約書や重要事項説明書で「どのような状態になったら退去要件に該当するのか」を事前にケアマネージャーや施設長に確認しておくことが大切です。
まとめ:最期までその人らしく過ごせる環境選びを
認知症グループホームでの看取りは、以下の3つが鍵となります。
- 医療・看護との連携体制
- 施設の方針とこれまでの実績
- 家族の心構えと事前の話し合い
「看取りができるから良い施設、できないから悪い施設」というわけではありません。大切なのは、ご本人とご家族が「どのような時間を過ごし、どのような最期を迎えたいか」です。
後悔のない選択ができるよう、現状の制度や施設の方針を正しく理解し、納得のいく施設選びをしてくださいね。


