認知症の症状が重度になると『特別障害者手当』を受給できる可能性があります。
介護保険の「要介護4・要介護5」の認定を受けている場合、特別障害者手当の受給対象となる可能性が高くなります。
この記事では、認知症単独の重度の障害について解説していきます。
諦めないで、ぜひ最後まで読んでみてください。
特別障害者手当|制度の概要
この手当は、精神または身体に著しく重度の障害があり、日常生活において常時特別の介護を必要とする20歳以上の方(在宅)を対象に支給される国の制度です。
重度の障害のため必要となる、精神的、物質的な特別の負担軽減の一助により、特別障害者の福祉の向上を図ることが目的とされています。
支給額
令和8年度(2026年度)の支給額は、月額30.450円です。
物価の変動に応じて毎年見直されています。
支給時期
特別障害者手当の支給は、原則として毎年2月、5月、8月、11月に、前月分までがまとめて支払われる仕組みです。
支給手続き
住所地の市区町村の障害福祉を担当している窓口へ申請
受給開始
認定を受けた場合、申請した月の翌月分から支給対象になります。
在宅であること
自宅だけではなく、有料老人ホーム、グループホーム、サービス付き高齢者向け住宅での生活(入居)している方が対象です。
特別養護老人ホームなどの施設入所、病院・診療所へ3ヶ月を超える入院をしている場合は支給対象外です。
認定基準|認知症
認知症は「精神の障害(症状性を含む器質性精神障害)」の一つとして扱われます。障害者手帳の有無や等級にかかわらず、所定の診断書で審査されます。
特別障害者手当の支給対象となるのは、認知症単独であっても、あるいは身体障害との重複であっても、「日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度」の重度の障害がある場合です。
認定基準
認知症の場合、「日常生活において常時、特別な介護を必要とする著しく重度の状態」であるかが、判断のポイントになります。
主に「日常生活動作(ADL)」と「問題行動(精神症状)」の2つの側面から判断されます。
状態の定義
(エ)症状性を含む器質性精神障害(高次脳機能障害を含む。)によるものにあっては、高度の認知障害、高度の人格変化、その他の高度の精神神経症状が著明なもの
厚生労働省:「障害児福祉手当及び特別障害者手当の障害程度認定基準について」の一部改正について
なお、アルコール、薬物等の精神作用物質の使用による精神及び行動の障害についてもこの項に含める なお、
(注1)高次脳機能障害とは、脳損傷に起因する認知障害全般を指し、日常生活又は社会生活全般に制約があるものが認定の対象となる。その障害の主な症状としては、失行、失認のほか記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などがある。
常時特別の介護
分かりやすく言うと、「日常生活のほとんどに全面的な介護が必要で、かつ意思疎通が困難な状態」ということです。
日常生活能力判定表
| 動作及び行動の種類 | 0点 | 1点 | 2点 |
|---|---|---|---|
| 1 食事 | ひとりでできる | 介助があればできる | できない |
| 2 用便(月経)の始末 | ひとりでできる | 介助があればできる | できない |
| 3 衣服の着脱 | ひとりでできる | 介助があればできる | できない |
| 4 簡単な買い物 | ひとりでできる | 介助があればできる | できない |
| 5 家族との会話 | 通じる | 少しは通じる | 通じない |
| 6 家族以外の者との会話 | 通じる | 少しは通じる | 通じない |
| 7 刃物・火の危険 | わかる | 少しはわかる | わからない |
| 8 戸外での危険から身を守る(交通事故) | 守ることができる | 不十分ながら守ることができる | 守ることができない |
合計14点以上の場合が対象の目安になります。
その他の認定要件もあるため、点数に達していても認定されない場合があります。
診断書(精神の障害用)
受給できるかは診断書の内容で決まります。
「常時特別の介護」に該当しているか、診断書で証明される必要があります。
まずは、診断書の項目内容や医師が作成する上の注意点など、ざっくりと目を通してください。


医師は、この項目や記入上の注意事項を考慮しながら診断書を作成します。
私は職業上、家族等から診断書を預かり医師(かかりつけ医)へ作成を依頼していました。
私が毎回のように感じていたことは、本人の状態を把握する(診断書に記載する)ための情報が不足していることです。
大切なこと
特に認知症の場合は、患者の詳細な状態を把握している医師は少ないです。裏を返せば、詳細な状態を医師へ伝えることができていないと言えます。
一番の近道は、医師へ認知症の症状を具体的に伝えることです。具体的なエピソードが、「状態の定義」を裏付ける根拠になるからです。
メモの事前準備
診察中に正確な状態を思い出すことは難しいため、重症度がわかりやすいように箇条書きのメモにして渡すことをお勧めします。
メモのポイントは、診断書の項目内容や医師が作成する上での注意事項を前提に要点を書くと、認定率が高くなる傾向にあります。
診察前や診察室に入った直後に、「状態を正確に伝えたいので、メモにまとめてきました」と言って診察に入る前に医師へ渡してください。
所得基準
受給者本人、配偶者、または扶養義務者の前年の所得が一定額を超えるときは手当は支給されません。
| 扶養親族等の数 | 受給資格者本人 | 受給資格者の配偶者及び扶養義務者 | ||
| 所得額(*1) | 収入額の目安(*2) | 所得額(*1) | 収入額の目安(*2) | |
| 0 | 3.661.000円 | 5.252.000円 | 6.287.000円 | 8.319.000円 |
| 1 | 4.041.000円 | 5.728.000円 | 6.536.000円 | 8.586.000円 |
| 2 | 4.041.000円 | 6.203.000円 | 6.749.000円 | 8.799.000円 |
| 3 | 4.801.000円 | 6.668.000円 | 6.962.000円 | 9.012.000円 |
| 4 | 5.181.000円 | 7.090.000円 | 7.175.000円 | 9.225.000円 |
| 5 | 5.561.000円 | 7.512.000円 | 7.388.000円 | 9.438.000円 |
*2 ここにあげた収入額は、給与所得者を例として給与所得控除額を加えて表示した額です。
厚生労働省:特別障害者手当について
支給対象外
障害の要件に該当していても、次に当てはまる場合は対象外です。
- 所得限度額を超過している方
- 施設に入所している方(特別養護老人ホームなど)
- 3ヶ月を超えて入院している方

